インターネット・SNSが広がっている現在、相手を傷つけるつもりはなかったとしても、自分の発言が誹謗中傷・名誉棄損になっているかもしれません。
逆に、誹謗中傷・名誉棄損されていて「法律違反で取り締まることはできないのだろうか」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか?
この記事では、誹謗中傷が法律違反になる場合についてまとめました。悩んでいる方はぜひご一読ください。
誹謗中傷が法律違反になる場合
被害内容や相手の言動により該当する罪は様々
法律違反に該当する可能性がある刑罰、権利侵害は以下の6つが考えられます。
誹謗中傷被害について法律では明確にされていないため、被害内容によって問われる罪が変わります。
・名誉毀損罪
不特定または多数の人が誰であるか認識できる状態で名誉を傷つけ、社会的評価を低下させる行為に該当します。
・侮辱罪
事実を摘示せずに不特定または多数の人が誰であるか認識できる状態で軽蔑の表示を行い、社会的評価を低下させる行為に該当します。
・脅迫罪
自分の生命、身体、自由、名誉、財産、親族に対し害を加えることを告知した場合に該当します。
・プライバシー権の侵害
日本の刑法ではプライバシー侵害について明確に記載されていないため、プライバシー侵害を罪に問うことはできません。しかし、民法に基づいて相手に損害賠償を請求することができます。
・肖像権の侵害
他人に無断で写真を撮影、使用、公表されてしまった場合に該当します。
・氏名権の侵害
他人からその氏名を正確に呼ばれること、氏名を他人に無断使用されない権利。氏名権侵害の条件としてSNSアカウントを乗っ取られた場合などのなりすまし被害が該当します。
プライバシー権、肖像権、氏名権の侵害は民法で裁かれます。そのため、権利の侵害が認められた場合は罪を問うのではなく、損害賠償請求という形で相手に責任を負わせることができます。
名誉棄損とは?
対象が誰であるか不特定多数がわかる状態でその人の名誉を傷つける行為
誹謗中傷が法律違反となる場合について紹介しましたが、多くの誹謗中傷被害は主に名誉毀損を主張することが多いです。
それでは、名誉毀損とは具体的にどのような行為が該当するのでしょうか。
名誉毀損の定義
名誉毀損とは「公然性と事実を摘示し、他人の名誉を傷つける行為」です。
ここで重要なのが、「公然性と事実の摘示」に当てはまっている必要があることです。
「公然性」とはSNSや掲示板などの不特定または多数が見れる状態で情報が伝播する可能性が考慮される状態にあることです。
「事実の摘示」とは他人の社会的評価を低下させる具体的な事実を示すことを言います。ここで言う具体的な事実とは内容が真実であるかどうかは関係ありません。社会的評価が実際に低下していなくても、低下する恐れがある場合も含まれます。
名誉棄損罪
名誉毀損罪には「刑事」と「民事」があります。
・「刑事」で問うことができる名誉毀損罪は、人の社会的評価を落とすような具体的な内容を不特定多数または多数に伝達させた場合に成立します。具体的な内容が事実であっても、広く知らせるべき正当な目的がない場合は罪になります。
→刑事罰として認められると加害者は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が課せられます
・「民事」で問うことができる名誉毀損罪は、他人の権利または法律上保護されるべき権利、利益を侵害されたときに成立します。しかし、こちらも公然性が必要です。
→民事で訴訟した場合、民事責任として損害賠償金を請求することができます。
名誉毀損の注意点 | ほとんどの誹謗中傷は実は名誉毀損罪
誹謗中傷被害のほとんどは名誉毀損罪で訴訟されている
誹謗中傷被害は名誉毀損に該当する場合がほとんどです。
しかし、名誉毀損についての説明で述べたように「公然性と事実を摘示」されている必要があります。
例えば、Twitterで誹謗中傷を受けた場合でもその内容がDMにて送られているのか、ツイートやリプライ欄にて投稿されているのかによって公然性は大きく変わります。
公然性がない場合であっても名誉毀損罪以外の罪で問うことが可能な場合もあるため、法律に強い弁護士などに相談するのも良いでしょう。
名誉毀損罪で気をつけるべきこと
・同定可能性があるか
SNSや配信サイトのアカウントを匿名やニックネームにしている方は多いと思います。
同定可能性とは書き込みや画像、映像の対象が自分であると特定できる状態にあることを言います。 ニックネームなどを使用している場合でも、文脈や話の流れから誰であるか特定できれば同定可能性があると言えるでしょう。
ペンネーム・ビジネスネーム・源氏名などを使用している場合、現実で誰であるかを特定できる必要があります。
同定可能性がない場合、誹謗中傷を受けたという証拠になりにくい点があるため証拠を取っておくことをお勧めします。
・権利侵害性
実際にどんな権利が侵害されているかが明確であることです。権利侵害性は名誉棄損罪に限らず非常に重要な事項になります。
・炎上可能性
法的対応をしたことで加害者を刺激してしまい、逆効果となって被害が拡大する可能性がある場合のことを炎上可能性と言います。被害に遭ったサイトの運営に投稿削除を依頼すると、削除したことが他人にも認知されてしまうこともあります。このように、サイトの仕組みや加害者によってはさらに被害が拡大し、いたちごっこになることがあるため注意する必要があります。
・違法性阻却事由
権利侵害性が認められた場合でも、例外にあたると法的な対応が難しい場合があります。特に、大手企業や政治家などについて広く知らせるべきスキャンダルのような内容だった場合、名誉毀損に該当しない可能性があります。
→名誉毀損罪が該当しない場合についてまとめた記事はこちらです。
まとめ
SNSや配信サービスなどが普及している現代、誹謗中傷をする側、被害を受ける側のどちらにもなりうる可能性があります。一度、ご自身のネットの使い方を見直してみてください。
心当たりがある方は、1人で抱え込まずに周囲に相談してみてはいかがでしょうか。法律に強い弁護士に相談してみるのもおすすめです。
トラスト弁護士法人はSNS・デジタル犯罪に強く、誹謗中傷の案件を数多く取り扱っています。
また、24時間問い合わせ・無料相談が可能です。誹謗中傷の被害に遭われた方、誹謗中傷してしまったかもしれない方、まずはトラスト弁護士法人へお気軽に無料相談することをおすすめします。
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