「ガーシー」こと東谷義和氏は、NHK党から参議院選に出馬して当選した暴露系YouTuberとして知られています。今回ドバイから帰国し逮捕されましたが、なぜ今のタイミングで逮捕されるのか気になる方もいるのではないのでしょうか?
今回の記事では
✓ガーシー氏が今まで逮捕されなかった理由
✓ガーシー氏がなぜ今逮捕されることになったのか?
✓国際指名手配・国内指名手配での罪の重さは違うのか?
✓名誉毀損の種類や罪の重さ
について解説します。
ガーシー氏が今まで逮捕されなかった理由
ガーシー氏が今逮捕された理由が気になるひともいるかも知れません。
実は警視庁は、昨年3月に逮捕状を取っていました。しかし、東谷氏はその後もUAE(アラブ首長国連邦)のドバイに滞在し続け、日本に帰国することを拒否していました。
警視庁は5月からUAEに捜査員を派遣し、現地当局に東谷氏の帰国への協力を要請しました。また、日本の外務省は東谷氏に対し、パスポートの返納を命じましたが、東谷氏は紛失したとしていました。そしてパスポートは4月に失効しました。
東谷氏がなぜドバイにいるときは逮捕されなかったのかについては、明確な理由は分かっていませんが、以下のような可能性が考えられます。
日本とUAEの間に犯罪人引渡条約がない
UAEと日本の間には犯罪人引渡条約がありません。そのため、UAE当局は日本からの逮捕状に基づいて東谷氏を強制的に引き渡す義務がなかった可能性があります。
合法的なビザを持っていた可能性
東谷氏はUAEで合法的なビザを持っていた可能性があり、UAE当局は東谷氏を不法滞在者として強制送還することができませんでした。
高額の投資を行っていた可能性
東谷氏はUAEで高額な投資を行っていた可能性があります。その場合、UAE当局は東谷氏を経済的利益の源泉として保護する動機があった可能性があります。
もしガーシー氏が高額の投資を行っていた可能性がある場合、UAEからしても「せっかくガーシー氏はお金を使ってくれているのに、わざわざ日本の警察に引き渡す意味がない。」という考えになってもおかしくはありません。
ガーシー氏がなぜ今逮捕されたのか?
UAEにガーシー逮捕により利益になることがあったり、国際社会の風向きの変化などがあった場合、UAEの当局が動く可能性があります。
FRIDAYデジタルによれば、日本やドバイに影響力のある人物による「働きかけ」があったとされています。
ドバイで収監されると日本に比べ環境が悪いため、それは避けたいという話も、立花孝志氏の口から発言されています。
国際指名手配と国内の指名手配での罪の重さの違い
そもそも国際指名手配とは?手配の基準
国際指名手配とは、国際刑事警察機構(ICPO)が開発し、発展させてきた制度であり、全加盟国の警察の組織力を通じて、
・国外逃亡被疑者の所在発見
・行方不明者の発見
・身元不明死体の身元確認等
に努めるものです。
国際指名手配を希望する場合、一般的には、加盟各国に設置された国家中央事務局(NCB)が、ICPOの事務総局に国際指名手配をして欲しい旨要請します。
国際指名手配を要請されたICPOの事務総局は、国際指名手配をすることに問題がないかどうかを検討し、問題がなければ要請された内容に沿って国際指名手配書をICPO加盟国のNCBに配布して手配します。
国際指名手配と国内の指名手配での罪の重さの違い
国内で指名手配された時と国際指名手配された時とでは、罪の重さは変わってくるということはありません。
指名手配や国際指名手配は、犯罪の重大性や悪質性によって行われるものであり、罪の重さを決めるものではないためです。罪の重さは、刑法やその他の法律によって定められた刑罰や量刑基準によって決まります。
ただ、指名手配されてない場合と比べて、指名手配・国際指名手配された後に自首する場合には、刑法上の自首に当たらない場合が多く、刑法上の自首による刑の減免を受けられない可能性が高いです。また、裁判で量刑を決める際にも、自首したことが有利に斟酌されるかどうかは事件や容疑の内容によりますが、一般的には難しい場合が多いです。
国際指名手配書の種類
国際指名手配書による手配には、次の9つの種別があります。ガーシー氏はどれに該当するのか、国際指名手配書の種類について述べた後に紹介します。
国際逮捕手配書(赤手配書)
引渡しを目的として、逃亡犯罪人の身柄の拘束を求めるもの。
国際情報照会手配書(青手配書)
被手配者の所在発見を求め、又は被手配者の正確な人定事項、犯罪経歴等に関する情報を求めるもの。
国際防犯手配書(緑手配書)
常習的国際犯罪者に関する情報を通報し、各国警察に注意を促すもの。
国際行方不明者手配書(黄手配書)
行方不明者、自救無能力者等に関する情報を求めるもの。
国際身元不明死体手配書(黒手配書)
国内で発見された身元不明死体について通報し、その身元を照会するもの。
武器等警告手配書(オレンジ手配書)
偽装爆弾、小包爆弾その他危険物について、各国警察、公的機関及び国際機関等に警告をするもの。
特殊手口手配書(紫手配書)
特異な事件や手口について通報し、各国警察の注意を促すもの。
ICPO国際連合特別手配書
国際連合安全保障理事会タリバーン・アルカーイダ制裁委員会から要請があったテロリストについて周知するもの。
盗難美術品手配書
盗難された美術品又は文化的価値を有する物品を探し出すことや、疑わしい状況で発見された物品を特定することを目的とするもの。
ガーシー氏の国際手配は当初、所在確認を求める「青手配」でしたが、身柄拘束を求める「赤手配」に切り替えていたようです。ガーシー氏は、UAEの当局から事実上の国外退去処分を受けたとみられ、2023年6月4日に帰国し、成田空港で逮捕されました。
名誉毀損の種類と罪の重さの違い
名誉毀損の種類
名誉毀損は実は種類があります。刑法上の名誉毀損罪と民法上の名誉毀損不法行為です。
刑法上の名誉毀損罪とは、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者が処罰される犯罪です。刑法230条に規定されており、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金が科せられます。ただし、被害者などの告訴がなければ処罰されません。
民法上の名誉毀損不法行為とは、他人の名誉を侵害した者が、その被害者に対して損害賠償をしなければならない不法行為です。民法709条に規定されており、精神的苦痛や社会的評価の低下などによる損害を賠償することが求められます。
刑法上の名誉毀損罪と民法上の名誉毀損不法行為は、同じ行為が両方に該当することもありますが、それぞれ異なる制度です。刑法上の名誉毀損罪は、国家が社会秩序を保つために犯罪者に対して刑罰を科すものであり、民法上の名誉毀損不法行為は、個人間の紛争を解決するために被害者に対して賠償をさせるものです。
ガーシー氏が逮捕は「刑法上の名誉毀損罪」にあたるといえるでしょう。
ガーシー氏が名誉毀損で刑事告訴された場合はどのくらいの罪の重さになるのでしょうか?
名誉毀損の罪の重さは具体的な事案によって異なりますが、一般的には以下のような要素が考慮されます。
名誉毀損で考慮される要素
公共の利害に関する事実にかかわるものでないこと
公共の利害に関する事実にかかわるものであれば、名誉毀損罪は免責される可能性があります。しかし、個人的な恨みや嫉妬などから相手のプライバシーや人格を攻撃するような場合は、罪が重くなります。
真実であると証明されないこと
名誉毀損罪は、摘示した事実が真実であるか否かにかかわらず成立します。しかし、真実であると証明されれば、名誉毀損罪は免責される可能性があります。逆に、虚偽や根拠のない内容で相手の名誉を毀損する場合は、罪が重くなります。
相手の社会的評価を低下させること
名誉毀損罪は、相手の社会的評価を低下させることが要件です。そのため、相手の職業や地位、信用や評判などに関わる内容であれば、罪が重くなります。例えば、「犯罪歴がある」「不倫している」「八百長をしている」などの内容は、名誉毀損罪として成立しやすく、損害賠償額も高くなります。
こういった要素で名誉毀損の罪の重さは変わってきます。
まとめ
この記事ではガーシー氏はなぜ今逮捕されるのか、名誉毀損と国際指名手配を法律的に解説しました。
もしも名誉毀損で悩んでいる方がいれば、SNSの誹謗中傷の相談窓口をこちらの記事で解説しています。
また、SNSトラブルに強い弁護士はこちらの記事で紹介しているのでぜひ参考にしてください。