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自衛隊で受けた性被害の内容は?法律と罰則を解説

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元自衛官である五ノ井里奈さんが、訓練中に受けた性的な被害について、実名や顔出しをしてYouTube上で告白し波紋が広がっています。彼女によれば、2021年の6月から8月にかけて、陸上自衛隊に所属していた当時、複数の上官から集団でセクハラを受けたとのことです。

彼女が実際に受けた性被害の内容はどのようなもので、実際にどのような法律・罰則があてはまることになるのでしょうか?

もし、現在性被害を受けて悩んでいる方にとっても、この記事が参考になれば幸いです。

自衛隊での性被害の事件の経緯

自衛隊での性被害の裁判の経緯

五ノ井里奈さんは2021年の6月から8月にかけて、陸上自衛隊に所属していた当時、複数の上官から集団でセクハラを受けたとのことです。

五ノ井さんは上司に被害を訴えたものの、取り合ってもらえなかったため、自衛隊内の捜査機関に被害届を出しました。しかし、検察からは不起訴とされたとのことです。

しかし去年9月、検察審査会が「唯一の証拠である被害者の証言を排除し泣き寝入りを強いる以上は、より慎重に判断する必要があるが、捜査が十分に尽くされたとは言いがたい」として、「不起訴は不当だ」とする議決を行いました。これを受けて検察が再捜査した結果、3人を在宅起訴することを決定し、17日に公表されました。

事件が明るみに出た後、防衛省は、去年12月に五ノ井さんに対して性暴力を行ったことが確認されたとし、陸曹5人を含む20代から40代の自衛官5人を免職の懲戒処分にしました。

みまもるコラム<br>編集部
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最初は不起訴とされた中で、めげずに活動を続けた五ノ井さんの姿は勇敢ですね。こういった被害者の声が大きくなる世の中になることを願うばかりです。現在はどんな状況なのでしょうか?

五ノ井さんの現在と活動状況

今回の起訴を受けて五ノ井里奈さんは、自身のTwitterでコメントを出しました。

「一時は全員不起訴になり、私が受けたことを考えると、どうしてそうなるのか到底納得できず、長い時間が過ぎました。しかし、今回3名が起訴されたことで、ようやく報われるような思いです。本当に毎日苦しかったです。関係した方には、自分たちが犯罪を犯したことをしっかりと認識し、反省し、罪を償って頂きたいと思います。このような犯罪が二度と繰り返されないように願うばかりです。」
多くの共感を呼び、1万RT、8.6万いいねもの反応があります。

↑は実際の謝罪会見の様子です。

現在五ノ井さんはTwitterをメインに性被害者・性暴力被害者の声を広げる活動を行い、講演等の活動を行っています。

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Twitter上で顔出しして活動するのは非常に勇気が必要なことです。五ノ井さんの声が国や加害者に届いてほしいものです。

五ノ井さんが受けた性被害の裁判状況

現在裁判は在宅起訴されている状況です。

在宅起訴とは、犯罪の嫌疑をかけられた被疑者が捜査機関に身柄拘束されずに起訴されることを指します。

被疑者の身柄を国が拘束することは、被疑者の身体の自由を奪う重大な処分であるため、法律上の要件を満たさなければなりません。そのため、逃亡や証拠隠滅のおそれがない場合、法律上の要件を満たさず、被疑者を逮捕または勾留することができません。また、軽微な事件についても身柄拘束の必要性がないと判断され、在宅起訴が行われることがあります。
実刑判決になるケースとしては、殺人などの重大な事件や前科がある事件など、比較的悪質なものが多く対象となります。このような事件では、捜査段階でも逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれが高いと認められるため、被疑者の身柄を拘束して捜査が進められることが一般的です。

一方、在宅起訴されるケースでは、比較的軽微な事件が中心となる傾向があります。ただし、在宅起訴された事件が実刑判決になる可能性が高いとは限りません。判決に至るまでには、検察と弁護士のやりとりや、裁判所での証言などがあるため、事件の内容や事情によっては実刑判決になる場合もあります。

みまもるコラム<br>編集部
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在宅起訴は比較的軽微な事件が中心となる傾向があります。しかし被害者が受けた心の傷は深いものです。加害者にはしっかりと罪を償ってほしいものですね。

参照:在宅起訴で実刑判決になる可能性は?

自衛隊で受けた性被害の内容

五ノ井さんが実際に受けた性被害の内容はどのようなものだったのでしょうか?五ノ井さんは実際のインタビューでこのように語っています。

「2020年秋ごろ、勤務中に、男性隊員が『柔道しようぜ!』と言いながら技をかけてくるのですが、腰をつかまれて“バック”のような体制にされて腰を振ってくるんです。それを女性隊員が目撃していました。廊下を歩いていると、急に抱きつかれることも日常的にありました」

参照:プレジデント・オンライン

女性隊員同士で報告し合うこともあったようですが、自分の身を守ることで精一杯で、何か行動を起こすということは難しかったようです。

みまもるコラム<br>編集部
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男性が多い職場の中で行動を起こすというのは非常に勇気がいることです。自衛隊にいる中で、実際に行動するのは非常に難しかったと思います。

日常的なセクハラに悩まされながら、入隊してから1年4か月が経った去年8月、五ノ井さんは今までに経験したことのない深刻な被害に遭いました。

その日、演習場での訓練の後、宿舎の男性隊員たちが部屋で宴会を開催しました。過去にも同様の宴会が開かれた際には、五ノ井さんは料理を作るよう要求されたり、お酌をするよう求められたりしていたそうです。

しかし、この日の宴会では、上司が部下の隊員に五ノ井さんに対して格闘技の技をかけるよう指示しました。その指示を受けた隊員が、五ノ井さんをベッドに押し倒して技をかけたというのです。このような行為は、五ノ井さんにとって驚きと恐怖をもたらし、深刻な心的外傷を引き起こす結果となりました。

「覆いかぶさってから暴走し始めて、相手の陰部を何度も服の上から押し当てられました。それが終わったら、今度は2人目。私の両手首を押さえつけてそのまま腰を振りました。さらに3人目も続きました。10数人の中で見せびらかされて笑いものにされて、恥ずかしくてすごく抵抗したけど、力が強くて勝てなくて。あきらめて事が終わるのを待とうと横を向いたら、上司が爆笑しているのが見えて、この人たち最低だなと思いました」

そして五ノ井さんは、事実の調査と関係者の処分、それに謝罪を求めて活動していくことを決意し、ことし6月に退職。

顔と実名を公開して声をあげた結果、防衛省が事実を認め謝罪したのです。

自衛隊で受けた性被害に関わる法律と罰則

それでは実際に、五ノ井さんが受けた被害にかかわってくる法律はどんなものがあるのでしょうか?
福島地検は17日、強制わいせつ罪で元陸自隊員の男性3人を在宅起訴しました。実際にどのような法律でどのような処分がなされるのでしょうか?

強制わいせつ罪

強制わいせつ罪は、刑法第176条により定められた犯罪であり、暴行や脅迫などの手段を使って、13歳以上の人にわいせつな行為を強制する行為を指します。また、13歳未満の場合は同意がなくてもわいせつ行為をした場合に、強制わいせつ罪に問われます。
「わいせつな行為」とは、キス、服を脱がす、乳房を揉む、陰部を触る、服の中に手を入れるなどが該当し、相手の同意なく行われた場合に罪が成立します。

強制わいせつ罪が成立すると、6か月以上10年以下の懲役刑が科されますが、犯罪の悪質性によって刑の重さが変わることがあります。関連した罪で準強制わいせつ罪・公然わいせつ罪という罪もあります。

準強制わいせつ罪・公然わいせつ罪

また、準強制わいせつ罪とは、精神喪失状態または拒絶不能状態にされた状態で、わいせつな行為が行われた場合に問われます。酒や睡眠薬を使って相手を無防備な状態にして、わいせつ行為を行うことが一般的です。準強制わいせつ罪に問われると、6か月以上10年以下の懲役刑が科されます。

公然わいせつ罪とは、公共の場でわいせつな行為をすることを指します。公然とは一般の人が見ることができる状態のことで、駅や公園、車中、カラオケボックスなども含まれます。公然わいせつ罪に問われると、6か月以下の懲役刑、30万円以下の罰金、拘留、科料のいずれかが科されます。

以上のように、わいせつ罪には様々な形態があり、犯罪の悪質性や状況に応じて罰則が変わることがあります。

みまもるコラム<br>編集部
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わいせつ罪に関連した罪にもいくつか種類があります。加害者にどのような判決がくだされるかはわかりませんが、しっかりと罪を償ってもらいたいです。

もし実際に性被害を受けたら?

もしも自分が性被害を受けた際には、警察にまず相談に行く必要があります。
同時に、性犯罪にまつわる経験のある弁護士に相談することが望ましいです。弁護士に相談することで、今後の最善な行動や賠償金の適切な金額を判断したり、訴訟手続きを進めるためのアドバイスやサポートを受けることができます。
トラスト弁護士法人では性犯罪にまつわるトラブルに強く、数多くのリベンジポルノの案件を取り扱っています。
また初回の無料相談も行っており、24時間体制でお問い合わせを受け付けているため、スピーディーに問題を解決できるでしょう。性被害に悩んでいる方はぜひ、トラスト弁護士法人にお問い合わせしてみてください。

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