誹謗中傷は法律で処罰することが可能です。誹謗中傷について具体的に明記している法律はありませんが、主に名誉毀損罪が該当する場合が多いです。
名誉棄損罪に加え、様々な罪が重なることもあります。誹謗中傷といってもネットによるものや法人に対してなど様々な被害ケースがあり、名誉毀損以外に該当する部分がある場合は他の法律で処罰されることもあります。
しかし、処罰を求める場合は「時効」に注意する必要があります。相手に責任を負わせたいと準備をしていても、時効によって処罰を求めることができなくなってしまうことがあります。
この記事では誹謗中傷に対する処罰とその時効について詳しくまとめました。
誹謗中傷には時効がある!時効に関わる法律の種類について
公訴時効
犯罪が終わった時から法律が定める期間を超えると、相手を刑事上で処罰することができないことを公訴時効と言います。
消滅時効
民事による損害賠償請求にも時効があります。こちらは被害者が加害者が誰であるかを知った状態から三年経過すると請求権が消滅してしまいます。さらに、加害者が匿名などで不明であり、誰であるか特定できない状態で20年経過すると同じく請求権が消滅します。
名誉毀損罪
刑事告訴による名誉毀損罪の公訴時効は三年です。こちらは犯罪が終わった時からになります。
名誉毀損は民事でも該当しますが、そちらは消滅時効と同様になります。
侮辱罪→公訴時効は一年
■侮辱罪→公訴時効は一年
加害者を知った時から三年経過すると請求権が消滅します。
加害者が匿名などで不明の場合、加害者を特定できない状態で20年経過すると同じく請求権が消滅してしまうため、被害に気がついたらまずは弁護士に相談してみることをおすすめします。
誹謗中傷は何の法律に違反する?
名誉毀損罪
名誉毀損罪には刑事と民事があります。
・刑事で問うことができる名誉毀損罪は、人の社会的評価を落とすような具体的な内容を不特定多数または多数に伝達させた場合に成立します。具体的な内容が事実であっても、広く知らせるべき正当な目的がない場合は罪になります。
・民事で問うことができる名誉毀損罪は、他人の権利または法律上保護されるべき権利、利益を侵害されたときに成立します。そして、こちらも不特定または多数が見れる状態で情報が伝播する可能性がある「公然性」を必要とします。
侮辱罪
事実を摘示せずに不特定または多数の人が誰であるか認識できる状態で軽蔑の表示を行い、社会的評価を低下させた場合に該当します。
名誉毀損罪と侮辱罪は一見似ていますよね。しかし、大きく異なる点が一つあります。
それは「事実の摘示があるかどうか」です。
「事実の摘示」とは他人の社会的評価を低下させる具体的な事実を示すことであり、ここで言う事実とは具体的に言動などについて述べることを言います。これは内容が真実かどうかは関係せず、社会的評価が実際に低下していなくても、低下する恐れがある場合は該当します。
例を挙げると、
◇名誉毀損→事実の摘示あり「〇〇さんは周囲の人々に詐欺行為をしている!」
◇侮辱罪→事実の摘示せず「〇〇さんは嘘つきの顔をしていて醜い!」
このように、「事実の摘示」によって名誉毀損罪か侮辱罪で異なります。
プライバシー権の侵害
法律に違反する例としてプライバシー侵害をあげました。しかし、実際はプライバシー侵害を罪に問うことはできません。刑法ではプライバシー侵害について明確に記載されていないため、民法で相手に責任を負わせることができます。これが損害賠償請求になります。
プライバシー侵害と判断されるには三つの条件を満たす必要があります。
それは、
1.拡散された情報が私生活上の事実または私生活上の事実らしく受け取られるおそれがあること
2.その情報が一般の人々にいまだ知られていないこと
3.その情報が本人だけでなく一般的な視点で見ても公開されたくない内容であること
が該当する条件となります。
肖像権
肖像権とはみだりに他人から写真を撮影されたり、公表されたりしないよう主張できる権利を言います。肖像権は人格権の一部、財産権の一部として分けることができます。
・人格権としての肖像権
有名人、一般人との境界がなく、誰にでも主張することができる権利
・財産権としての肖像権
有名人の肖像や名前が顧客を集める力を持つようになり認められた権利
氏名権
他人からその氏名を正確に呼ばれること、氏名を他人に無断使用されない権利を氏名権と言います。氏名権侵害の条件としてSNSアカウントを乗っ取られた場合などのなりすまし被害が該当します。
訴訟をする場合:刑事訴訟と民事訴訟
訴訟とは
簡単に言うと、裁判所に訴えること、裁判をすることを訴訟と言います。裁判には民事裁判・刑事裁判があり、民事裁判では個人又は弁護士が裁判に提訴し、刑事裁判では検察官が裁判に起訴します。
告訴とは
捜査機関に対して犯罪事実を申告し、相手に刑事訴訟法に基づいて刑事責任を負わせる意思表示のことを指します。誹謗中傷被害による名誉毀損罪、侮辱罪などは被害者が訴えない限り犯罪とならない親告罪のため、犯罪事実を捜査機関に申告する必要があります。親告罪は被害者が犯人を知った日から六か月で告訴期間が終了するため、告訴を考えている方は注意が必要です。
告訴した後犯罪の嫌疑がある場合、警察が捜査を行い事件を検察に送ります。そこから検察官が起訴するか判断をし、起訴されると裁判所にて有罪・無罪のどちらかに判決されます。
訴状とは
民事訴訟をするためには、訴状を裁判所へ提出する必要があります。主に請求内容やその原因、証拠について記載します。刑事訴訟とは異なり、民事訴訟は個人から提訴する事が可能なため訴状の作成もご自身で行うことができます。しかし、証拠の整理や権利主張など手続きの過程に苦労する方もいらっしゃるため、弁護士や司法書士などの代理を立てて作成する方法をおすすめします。
まとめ
本記事では誹謗中傷の時効や、時効の種類について紹介しました。
相手を実際に訴えるとしても、自分ひとりで手続きするには膨大な時間や手間がかかります。
トラスト弁護士法人はSNS・デジタル犯罪に強く、誹謗中傷の案件を数多く取り扱っています。
また、24時間問い合わせ・無料相談が可能です。誹謗中傷の被害に遭われた方、誹謗中傷してしまったかもしれない方、まずはトラスト弁護士法人へお気軽に無料相談をおすすめします。
また、もし誹謗中傷してきた相手に損害賠償請求を行いたい場合はこちらの記事を御覧ください。
→誹謗中傷は法律違反?損害賠償は請求できる?