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Twitterで開示請求する方法!【画像解説】流れと費用、成功例・失敗例も紹介

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Twitterでは誹謗中傷や個人情報の流出などの不法な投稿を行うユーザーも存在します。そんなとき、被害者はTwitterに対して、不法な投稿をしたアカウントの個人情報を開示してもらうことができます。これを開示請求と呼びます。開示請求によって、発信者を特定し、削除や損害賠償などの対応を行うことができます。

しかし、開示請求は簡単なものではありません。裁判所に申し立てる必要がありますし、相手方は日本国内にあるわけではありません。また、改正プロバイダ責任制限法によって開示請求の対象や方法も変わりました。

この記事では

✓Twitterの開示請求手順や流れについて

✓開示請求の成功例・失敗例

✓個人・弁護士で行う際の費用

✓個人で開示請求を行う場合と弁護士に依頼する場合のメリットやデメリット

を紹介します。

開示請求は難しい手続きですから、早めに動くことや弁護士に相談することが大切です。この記事を参考にして、自分や自社の権利や利益を守るために有効な対策を行ってください。

Twitterへ開示請求する流れ

Twitterで誹謗中傷されたりした場合、発信者を特定するためには、まずTwitterに対して発信者情報開示仮処分を申し立てる必要があります。これは、Twitterに対して、誹謗中傷を投稿したアカウントがログインしたときのIPアドレスを教えてもらうための手続きです。

IPアドレスとは、インターネット上でコンピュータやスマートフォンなどの機器を識別するための番号です。IPアドレスから、発信者が利用したインターネットサービスプロバイダ(プロバイダ)や地域などが分かります。

しかし、この手続きは時間がかかることが多く、また改正プロバイダ責任制限法によって開示の対象が変わったこともありますので、注意が必要です。以下では、Twitterへの開示請求&プロバイダへの開示請求について詳しく説明します。

Twitterの開示請求の流れ①証拠を保存

まず最初にすることは、対象となるTweet(ツイート)を証拠として保存することです。そのTweetがいつ投稿されたものであるか、そしてインターネット上で公開されているものであるかが分かるように、スクリーンショット画像を取得しましょう。TweetのURLや投稿日時が印刷されるようにしましょう。

また、名誉毀損などで読んだ人の受け取り方が問題となる場合には、そのTweetを引用リツイートしたりコメントしたりした他の人の反応も証拠として保存しましょう。これは、一般読者がどのようにそのTweetを読んだかを示すことで、主張を補強するためです。

裁判で使用できる正しい証拠の取り方はこちらの記事で解説しているので参考にしてください。

Twitterの開示請求の流れ②発信者情報開示仮処分

次にすることは、Twitterに対して発信者情報開示仮処分を申し立てることです。これは、裁判所に申し立てる手続きであり、Twitterが日本国内にあるわけではないため、相手方は「X Corp.」という会社になります。この会社はTwitter,Inc.が統合された会社であり、「X Corp.」の日本国内での代表者が登記されていない場合には、管轄裁判所をどこにするか検討する必要があります。

この手続きでは、対象となるTweet(ツイート)を投稿したアカウントがログインした際のIPアドレスとその日時(タイムスタンプ)を開示してもらうことを求めます。しかし、改正プロバイダ責任制限法によって開示の対象が変わったことに注意しましょう。

今は投稿ごとに権利侵害の有無が判断され、侵害関連通信という概念が適用されます。侵害関連通信とは、侵害情報の送信と相当の関連性を有する通信です。Twitterへの開示請求を行った際に、投稿に「最も近いログインIP」「タイムスタンプ」のみが開示される可能性があります。そのため、対象とするログインIPとタイムスタンプをんでプロバイダへの開示請求を行う必要があります。

また、この手続きは時間との戦いでもあります。プロバイダはログを3ヶ月程度しか保存していないことが多いです。Twitterから開示された後も、プロバイダにログが残っていなければ、発信者を特定することはできません。したがって、証拠が消えないうちに早く行動を起こす必要があります。特に、対象となるアカウントが削除されている場合には、Twitterでのログも消去されてしまう可能性が高いので、注意が必要です。

Twitterの開示請求の流れ③実際の手続きの流れ

この手続きの流れは以下のようになります。

①申し立て:裁判所に申し立て書を提出します。申し立て書には、自分や自社の権利や利益が侵害されたことや、開示を求める理由や根拠などを記載します。

②裁判官との面接(債権者面接):裁判官から呼び出されて面接を受けます。面接では、申し立て書の内容や証拠などについて説明します。

③補正:裁判官から指示される場合には、申し立て書や証拠などを補正します。補正しない場合もあります。

④債務者の呼出し・申立書の直送:裁判所から相手方である「X Corp.」に対して呼出状が送付されます。また、申し立て書や証拠なども相手方に直送されます。

⑤双方審尋期日:裁判所で双方の弁論が行われます。「X Corp.」は日本国内にあるわけではないため、出廷しない可能性もあります。

⑥発令:裁判官が発信者情報開示仮処分を発令します。発令後には、「X Corp.」に対して仮処分執行命令書を送付します。

⑦Twitterからの開示:「X Corp.」からTwitterに対して仮処分執行命令書が送付されます。Twitterはそれに従って、対象となるアカウントのログインIPとタイムスタンプを開示します。

Twitterの開示請求の流れ④接続プロバイダの特定

Twitter社からメールで開示されたIPアドレスをもとに、発信者が使ったプロバイダを調べます。

ただし、プロバイダに開示請求をするときは、注意が必要です。プロバイダによっては、Twitter社からのメールだけではなく、メールに書かれたリンク先の画面も見せてほしいと言われることがあります。その場合は、開示された情報と不法な投稿が同じアカウントによるものであることを証明するために、リンク先のURLなどもスクリーンショットで保存しておく必要があります。

Twitterの開示請求の流れ⑤接続プロバイダに対する発信者情報開示請求訴訟

接続プロバイダに対しては、まず任意の開示請求を行いますが、発信者が開示に同意しない場合は、ほとんど開示されません

その場合は、発信者情報開示命令申立てを行います。これは改正プロバイダ責任制限法で新設された制度であり、簡易迅速な手続きが期待されます。管轄裁判所は接続プロバイダの住所地となります。

Twitterの開示請求の流れ⑥発信者の特定と損害賠償請求

発信者の情報が開示されたら、被害者は発信者に対して、損害賠償請求などの対応をすることができます。 ただし、開示された情報が、必ずしも本当の発信者の情報とは限りません。開示された情報が、法人やホテルやマンションなどの施設のものである場合もあります。そうなると、本当の発信者を特定するのは難しくなりますし、場合によっては諦めるしかないこともあります。

損害賠償請求の方法は、交渉と訴訟のどちらかです。多くの場合は、まず交渉で任意の支払いを求めますが、相手が拒否したり無視したりしたり、納得できる金額に応じてくれない場合は、訴訟を起こします。もちろん、最初から訴訟を起こすこともできます。

Twitterの開示請求の流れまとめ【画像】

分かりやすく画像にしてみました。

流れをまとめると下記になります。

1.裁判所へTwitterを相手方に申し立て

東京地方裁判所に対して、Twitter社に対する発信者情報開示命令と提供命令の申し立てを行います。このとき、申し立て書には権利侵害の事実や証拠、開示を受ける正当な理由などを記載し、必要な書類を添付します。


2.プロバイダの情報を開示するように命令

申し立てが受理されれば、裁判所からTwitter社に対して、投稿者が利用しているプロバイダの名前と住所を開示するよう命令が出されます。


3.プロバイダの情報を対応し照会

Twitter社が命令に対して対応を行うことで、プロバイダを把握できます。


4.裁判所へプロバイダを相手方に申し立て

プロバイダを把握したら、同じ裁判所に対してそのプロバイダを相手方とする発信者情報開示命令と消去禁止命令の申し立てを行います。このときも、申し立て書には権利侵害の事実や証拠、開示を受ける正当な理由などを記載し、必要な書類を添付します。


5.投稿者の命令を開示するよう命令

申し立てが受理されれば、裁判所からプロバイダに対して、投稿者の氏名や住所などの個人情報を開示するよう命令が出されます。また、投稿内容の消去を禁止する命令も出されます。


6.プロバイダから個人情報を照会

プロバイダが命令に対して対応を行うことで、投稿者の個人情報を入手できます。

Twitterの開示請求での成功例&失敗例の特徴

Twitteの開示請求での成功例の特徴

Twitter発信者情報開示請求の成功例の特徴は、不法な投稿が明確であり、権利侵害や違法性について争われていないことや、不法な投稿が削除されずに残っていることや、Twitter社の利用規約に違反していることなどです。また、不法な投稿が多数あったり、近年に行われたりする場合も、発信者情報開示請求が成功しやすくなります

Twitterの開示請求での失敗例の特徴

Twitter発信者情報開示請求の失敗例の特徴は、不法な投稿が明確でなかったり、削除されていたり、Twitter社の利用規約に違反していなかったりする場合です。また、不法な投稿が少なかったり、古かったりする場合も、発信者情報開示請求が棄却されやすくなります

Twitterの開示請求のタイムリミット

通信ログが残る期間

Twitterの開示請求には、タイムリミットがあります。

投稿者のアクセスログは、プロバイダが一定期間保有していますが、その期間が過ぎると削除されてしまいます。

プロバイダによっては、3ヵ月や6ヵ月でアクセスログを消去する場合もあります。

アクセスログが消えてしまうと、開示請求をしても投稿者の特定ができなくなります。

プロバイダを特定した後に「発信者情報消去禁止仮処分命令申立」という手続きを行うようにしましょう。

発信者情報消去禁止仮処分命令申立とは?

裁判所に申し立てをして、プロバイダに対して投稿者の情報の消去を止めるように命令してもらうことです。

開示請求から投稿者特定までの期間

また、Twitter社に対する開示請求やプロバイダに対する訴訟申し立てにも時間がかかります。

Twitter社からIPアドレス情報を提供してもらうまでには、1~2ヵ月程度必要です。そしてIPアドレス情報からプロバイダを特定し、投稿者の個人情報を開示させるまでには、3~5ヵ月程度必要です。

つまり、開示請求から投稿者の特定までには、最低でも半年間はかかると考えるべきです。

そのため、開示請求をおこなう場合は、早めに行動することが重要です。

Twitterで開示請求を行う際の費用

自分で行う場合

IPアドレス等の開示に係る仮処分申立てに必要な印紙費用としては、1回の手続につき2,000円です。

また、発信者情報開示に係る訴訟提起に必要な印紙費用は、1回の手続につき1万3,000円です。

この他、手続開始に当たり一定額の切手代がかかります。

弁護士に頼まないことで費用が浮くのは、自分で手続する大きなメリットだと言えるでしょう。

ただ、自力で開示請求する場合、証拠の収集や保全、Twitter社やプロバイダへの裁判手続まで、自分自身で全ての作業を行う必要があります。

手続きの進め方で(改正前の手続か、改正後の手続きか)、場合によって対処法や方法も変わってきます。法律的な知識だけでなく、裁判所との手続きやそれぞれの開示請求のケースにおいて実際の開示請求の経験が関わってくる場面も多いです。続きさまざまなことに注意しながら開示請求を進めていく必要があります。

実際のところ自分で開示請求を行うのは、よほど法律の知識や経験がない限り厳しいと言わざるを得ないでしょう。

自分で開示請求を行う際に、手続がスムーズに行えず被害が拡大してしまう可能性があります。そのため自分で開示請求を行うのはリスクが大きいでしょう。

弁護士に頼む場合

弁護士に依頼する場合は、費用がかかりますが、手続きを任せられるだけでなく、成功率も高くなる可能性があります。

弁護士に依頼する場合の費用は、依頼先の法律事務所によって異なります。

弁護士に依頼する場合の費用は、以下の3つの項目で構成されます。

着手金:弁護士に依頼する際に支払う初期費用です。
報酬金:弁護士が開示請求の手続きをおこなう際に支払う費用です。
裁判費用:裁判所に申し立てる際に支払う手数料や郵送費用などです。

これらの費用は、事件の内容や難易度によって変わりますが、一般的には数十万円から数百万円程度といわれています。

裁判手続きを行う場合、そうでない場合で費用が大きく変わってきます。

裁判手続きを行う場合

裁判を行う場合にかかる弁護士費用の目安は下記です。

裁判手続きをおこなう場合の弁護士費用
着手金約20万~30万円
報酬金約15万~20万円
裁判費用約6万円

裁判手続きを行う場合、手続きが増える分弁護士費用も大きくなります。

裁判の期間によっても費用は変わってきます。あらかじめ、弁護士に予算を伝えておく・どの程度の予算がかかるのか聞いておくようにしましょう。

裁判手続きを行わない場合

裁判を行わない場合の弁護士費用は、以下のとおりです。

裁判手続きをおこなう場合の弁護士費用
着手金約5万~10万円
報酬金約15万円

裁判手続きがないため、着手金と報酬金だけがかかります。

法律事務所によって報酬金の額は違いますが、依頼が成功した後の成功報酬にしているところもります。

相談料や実費がかかる場面もあるため、費用はどの程度かかるのか事前に確認しておきましょう。

Twitterの開示請求を弁護士に頼む基準は?

不法な投稿が明確でない場合・権利侵害や違法性が争われる可能性がある場合は、弁護士に依頼することで開示請求の可否や成功率を的確に判断してもらえます。

また、早急に投稿者を特定したい場合や特定後の慰謝料請求や法的措置なども一括して依頼したい場合は、弁護士に依頼することで投稿者特定の手続きを迅速に進めてもらえます。

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まとめ

この記事ではTwitterで開示請求する流れや費用、弁護士事務所を選ぶ注意点について解説しました。

弁護士への相談の敷居が高い人もいるかもしれません。

開示請求だけでなくSNSトラブル全般について、無料の相談窓口をこちらの記事で案内しているのでぜひ参考にしてください。

より具体的に、自分で開示請求を行った場合と弁護士に頼んだ場合の比較についてまとめたので、こちらの記事も是非参考にしてください。

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変化の早いWeb×法律業界で、下積みライターから現在編集部長へ。実績豊富な弁護士・Webに強いAIエンジニアと共にデジタル犯罪の撲滅を目指す。誹謗中傷・風評被害・リベンジポルノを中心に、虐待や性被害・法律の疑問といった情報をお届け。

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