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アカデミックハラスメントはどこに相談すればいい?窓口で必要な情報と対処法を紹介

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コラムセクハラ解決事例

アカデミックハラスメントとは、教員や研究者が自分の立場や権力を利用して、学生や部下に対して不当な扱いや嫌がらせをすることです。アカデミックハラスメントは、学問の自由や倫理を侵害し、被害者の人格や尊厳を傷つけるだけでなく、学業や研究にも深刻な影響を及ぼします。

2023年にもセクハラ発言等によるアカデミックハラスメントで早稲田大学と文芸評論家・元教授に賠償命令が下されました(上記動画)

この記事では、アカデミックハラスメントの相談事例や相談先を紹介するとともに、相談する際に必要な情報や対処法、注意点について解説します。アカデミックハラスメントに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

こんな時はアカデミックハラスメントかも | よくある相談事例について

アカデミックハラスメントの相談事例

アカデミックハラスメントと一口に言っても、事例は様々です。下記がよくある相談事例です。

・教授からゼミの採用を断られたり、進路に関する不利益を受けたりする理由として、「女性だから」「男性だから」「外国人だから」などの差別的な発言をされた。
・研究室の教授や先輩から、研究成果や学力を否定されたり、無視されたりするなどの精神的な暴力を受けた。
・教授から過度な時間や労力を要求されたり、無理な課題や期限を課されたりするなどの肉体的な負担を強いられた。
・教授から自分の研究テーマや方法に口出しをされたり、自分の意思に反して共同研究や発表に参加させられたりするなどの学問的な干渉を受けた。
・教授から自分の私生活に関する不適切な質問やコメントをされたり、セクシュアルな関係を迫られたりするなどのセクシュアルハラスメントを受けた。

これらの事例は一例であり、他にもアカデミックハラスメントとみなされる行為はあります。悩んでいる方はまずは相談することが必要です。

実際に被害に遭った際の対処法はこちらの記事にまとめているので参考にしてください。

アカデミックハラスメントとは?実際の行為・被害事例と対策 | もう悩まないでください

みまもるコラム編集部
みまもるコラム編集部

自分が受けた行為がアカデミックハラスメントか分からない人もいるかもしれません。また、指導者に対する恐怖から沈黙したりすることもあるでしょう。

もし自分の受けた行為がアカデミックハラスメントか分からなかったら?

アカデミックハラスメントは、教員や研究者の指導や評価という名目で行われることが多く、被害者自身が気づきにくい場合もあります。また、被害者は自分の非があると思い込んだり、指導教員に対する恐怖や忠誠心から沈黙したりすることもあります。

しかし、アカデミックハラスメントは、学問の自由や倫理を侵害する重大な問題であり、放置しておくと被害が深刻化する恐れがあります。

もし自分がアカデミックハラスメントに遭っているのかどうか分からない場合は、以下のようなチェックリストを参考にしてみてください。

・指導教員や先輩から不当な扱いや嫌がらせを受けていると感じることはあるか?
・指導教員や先輩から差別的な発言や暴言を吐かれたり、無視されたりすることはあるか?
・指導教員や先輩から過度な時間や労力を要求されたり、無理な課題や期限を課されたりすることはあるか?
・指導教員や先輩から自分の研究テーマや方法に口出しをされたり、自分の意思に反して共同研究や発表に参加させられたりすることはあるか?
・指導教員や先輩から自分の私生活に関する不適切な質問やコメントをされたり、セクシュアルな関係を迫られたりすることはあるか?

これらの質問に一つでも「はい」と答えた場合は、アカデミックハラスメントの可能性が高いと考えられます。その場合は、早急に相談窓口に助けを求めることをおすすめします。

みまもるコラム編集部
みまもるコラム編集部

自分が受けた行為がアカデミックハラスメントなのか分からなければ、家族や友達に相談してみることではっきりする部分もあるかもしれませんよ。

アカデミックハラスメントはどこに相談すればいい?

相談窓口としては以下のようなものがあります。

大学・大学院の窓口

一番手軽に相談できるのは、大学や大学院のアカデミックハラスメント相談窓口です。
最近では、アカデミックハラスメントに対する問題意識が各大学・大学院で高まっているため、専門の相談窓口が設けられていることも多くなっています。
相談窓口では、基本的に学生の目線に寄り添った対応をしてくれるため、まずは一度相談してみると良いでしょう。

民間のNPO(NAAHなど)

しかし、大学や大学院の相談窓口に相談したとしても、身内の問題として満足な対応をしてもらえないケースも残念ながら存在します。その場合は、民間のNPOに助けを求める手段も考えられます。
民間のNPOでもっとも有名なのは「アカデミック・ハラスメントをなくすネットワーク(NAAH)」です。NAAHでは電話での相談やメールでの相談を受け付けており、匿名相談も可能です。

相談した際は精神的な負担が軽くなるよう慰めたり、大学・大学院側に対して法的なアクションを起こすための相談先を適宜紹介したりといったことをしてくれます。

弁護士

悪質なアカデミックハラスメントに遭ってしまったケースでは、大学・大学院や加害者である指導教員に対して、損害賠償請求をすることも検討すべきです。その場合には、弁護士に相談しましょう。
弁護士は、アカデミックハラスメントの事実を裏付ける証拠をそろえるために必要なアドバイスをしてくれるほか、専門的な見地から全般的にサポートしてくれます。

弁護士が行ってくれる手続きとしてはまず、大学・大学院や加害者である指導教員に対して、警告の意味を込めた内容証明郵便を送付することがあげられるでしょう。

その後で大学の反応をみて対応を決めることになります。

やはり弁護士に相談する方が大学側からしても「大事になるかもしれない」と思わせることができ、調査に動くことが多いかもしれません。

みまもるコラム編集部
みまもるコラム編集部

大学の窓口に相談しても教授の息がかかっており相談を受け付けてもらえないケースもあるかもしれません。その際はあきらめずにNPO法人や弁護士に相談してみましょう。

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アカデミックハラスメントを相談する際に窓口で必要な情報

アカデミックハラスメントの被害についての時系列を整理

相談する際には、実際にどのような経緯で被害を受けているのかを説明しなければなりません。
その際、事実関係がよく伝わるように、これまでのアカデミックハラスメント被害を時系列順に整理してから相談に臨むと良いでしょう。
たとえばアカデミックハラスメント被害を時系列順にまとめたメモを作って、相談先に提出して読んでもらう方法も有効です。

アカデミックハラスメントの証拠を集める

相談の時点で完璧に準備する必要はありませんが、アカデミックハラスメントに関する証拠をある程度揃えておくと、その後の対応方針などが立てやすくなります。
たとえば加害者とのLINEやメールのやり取り、着信履歴やネット上の書き込みなどは全て記録として残してください。
データ保存も重要ですが、データは本人が意識しないうちに消去されてしまうことがよくあるので、印刷物として残しておくことも必要です。
特にアカデミックハラスメント被害を弁護士に相談する場合は、その後の損害賠償請求に備えて、証拠を準備することがいっそう重要になります。

みまもるコラム編集部
みまもるコラム編集部

被害を受けた際にいきなり相談にいってももちろん大丈夫ですが、時系列を整理、情報を集めておくことで、アカデミックハラスメントの証拠になるものもあります。

アカデミックハラスメントを相談し加害者の処分に至った事例

アカハラを大学に相談

東京学芸大学教育学部の男性教授が、複数の学生に対してアカデミックハラスメントを行っていたことが発覚した事例です。教授は、メーリングリストを利用して、留年をほのめかしたり、内定取り消しを促したりするメールを一斉送信していました。大学は事実調査を行った結果、教授を諭旨解雇処分にしました。
教授は反省しているものの、言動の一部は指導の一環だったと主張している。大学は再発防止に努めたいとコメントしている。学生の中には卒業後も精神疾患で働けない状態になった人もいます。

精神疾患で働けなくなり、大きく人生が狂わされてしまうのは非常に辛いことです。

アカハラを弁護士に相談

早稲田大学の大学院生だった女性が、指導教員の文芸評論家・渡部直己元教授からセクハラを受けたとして、渡部氏と早稲田大学に損害賠償を求めた裁判で、東京地裁が6日、渡部氏と早稲田大学に計約60万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。
女性は、渡部氏から「俺の女にしてやる」「卒業したら女として扱ってやる」という発言や体への触れ方などのセクハラを受けたほか、相談した別の教授からも「あなたにも隙があった」「男性を勘違いさせてしまうような挙動がある」という発言をされる二次被害があったと訴えました。

大学の相談窓口では相談に乗ってもらえず、弁護士へ相談。

そして東京地裁は、渡部氏の「俺の女にしてやる」という発言について「性的な観点からの発言で、良好な環境で学習する利益を侵害した」と認め、渡部氏と早稲田大学に合わせて55万円の賠償を命じた。また、相談した別の教授の発言についても「配慮義務違反があった」として、早稲田大学にさらに5万円余りの支払いを命じました。
渡部氏はこの女性へのセクハラを理由に2018年に大学から解雇されています。

渡部氏は裁判で「俺の女にしてやる」という発言はジョークだったと主張し、「そのほかのハラスメントはなかった」と争っていました。渡部氏の代理人弁護士は「判決は本人が発言を認めて反省している範囲での認定だったので、受け入れたい」としています。
女性は判決後に記者会見し、「別の教授に相談した際の2次加害が認められたことは意義があったと思いますが、セクハラと認められなかった行為もあるので複雑な気持ちです」と話しました。女性の弁護士は控訴するかどうか検討するとしています。
早稲田大学は「極めて遺憾であり、再発防止に努めたい」とコメントしています。

みまもるコラム編集部
みまもるコラム編集部

大学側に相談して迅速に解決できるのが一番ですが、そこでの問題解決が難しいためアカデミックハラスメントが社会問題になっている一面もあるのかもしれません。弁護士へ相談することで解決の道筋になるかもしれません。

アカデミックハラスメントを相談する際の注意点

証拠は具体的にしておく

メールや録音などの具体的な証拠があれば、プリントアウトやコピーして持っていきましょう12。
相談するときには、自分の希望や目的を明確に伝えましょう。相談先は、あくまで相談者の意思を尊重して対応します。自分がどうしたいかをはっきりさせておくことが大切です。

相談した後は相談先からのアドバイスに従う

相談した後は、相談先からのアドバイスや指示に従って行動しましょう。相談先は、アカデミックハラスメントの問題解決に向けて専門的な知識や経験を持っています。信頼して協力することが重要です。ただ、大学内部の相談センターが調査を行ってくれないケースもあるので、そうした場合は弁護士に相談しましょう。

まとめ

この記事ではアカデミックハラスメントの相談窓口や必要な情報・対処法について紹介してきました。

大学に相談・NPO法人・弁護士に相談等ありますが、まずは大学に相談、効果が出ない・加害者を厳正に処罰して欲しい場合は弁護士への相談を検討しましょう。

トラスト弁護士法人はSNS上のデジタル犯罪やセクハラ・ハラスメント等のトラブルに強く、数多くの案件を解決してきました。また初回の無料相談も行っており、24時間体制でお問い合わせを受け付けているため、スピーディーに問題を解決できるでしょう。セクハラ・ハラスメント被害に悩んでいる方はぜひ、トラスト弁護士法人にお問い合わせしてみてください。

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変化の早いWeb×法律業界で、下積みライターから現在編集部長へ。実績豊富な弁護士・Webに強いAIエンジニアと共にデジタル犯罪の撲滅を目指す。誹謗中傷・風評被害・リベンジポルノを中心に、虐待や性被害・法律の疑問といった情報をお届け。

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