リベンジポルノとは、元恋人や知人などによって、無断で性的な画像や動画がインターネット上に公開されることです。この行為は、被害者の人権やプライバシーを侵害し、精神的な苦痛や社会的な不利益をもたらします。しかし、リベンジポルノに対する法的な対応は十分ではなく、被害者が救済を求めるのは困難です。この記事では、リベンジポルノの定義や近年の状況、関わる法律や罰則、逮捕の可能性や時効、加害者や被害者になった時の対処法などについて解説します。
リベンジポルノについて

ここではリベンジポルノの定義と近年の状況を解説します。
リベンジポルノの定義
リベンジポルノという言葉は、英語のrevenge(復讐)とpornography(ポルノ)を組み合わせた造語です。しかし、日本では法律上の正式な定義はありません。一般的には、以下のような要件を満たす場合にリベンジポルノとみなされます。
・性的な画像や動画がインターネット上に公開される
・公開されることに被写体の同意がない
・公開する目的が復讐や嫌がらせなど悪意に基づく
・公開する行為が被写体に不利益を与える

上記の要件は一例です。「ささいなこと」だと自分は思っていてもリベンジポルノだとみなされる事例は数多く存在します。
リベンジポルノを取り巻く近年の状況
近年、リベンジポルノの被害は増加傾向にあります。警察庁によると、2019年度にはリベンジポルノ関連の相談件数が1,867件と過去最多を記録しました。また、2020年度にはコロナ禍で在宅時間が増えたことも影響し、相談件数は前年度比で約1.5倍の2,797件とさらに増加しました。
リベンジポルノの被害者は、男女ともに若い世代が多いことが特徴です。2019年度の相談件数では、男性被害者の約6割が20代以下でした。女性被害者では20代以下が約4割でした。また、加害者は元恋人や知人など身近な人物が多く、2019年度では約8割がそうでした。
リベンジポルノはインターネット上で拡散されることで、被害者は名誉毀損やストーカー行為などさらなるトラブルに巻き込まれる可能性があります。また、自殺や自傷行為など精神的なダメージも深刻です。2020年11月には、元恋人からリベンジポルノを受けた女性の女性が自殺したという悲しいニュースが報道されました。このように、リベンジポルノは被害者の命にも関わる深刻な問題です。

リベンジポルノは社会問題になっています。関わる法律もたくさんあるので、加害者・被害者は大まかにでも知っておきましょう。
リベンジポルノに関わる法律は?種類と罰則について

まず、リベンジポルノを犯罪として罰する法律としては、2014年に制定された「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」(通称:リベンジポルノ防止法)があります。この法律は、以下のような行為を処罰の対象としています。
公表罪
第三者が撮影対象者を特定できる方法で、私事性的画像記録(物)を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列する行為
提供罪
公表させる目的で、私事性的画像記録(物)を提供する行為。私事性的画像記録とは、本人が第三者に見られることを認識した上で撮影を許可したもの(アダルトビデオやグラビア写真など)を除き、以下のような記録を指します。
- 性行為の記録
- 性交類似行為(手淫・口淫)の記録
- 他人が性器等(性器、肛門又は乳首)に触れる記録
- 衣服の全部、または一部を着けておらず性的な部位が強調されている記録
リベンジポルノ防止法以外にも、リベンジポルノに関連する犯罪はわいせつ物頒布罪などありますが、その他の法律について知りたい場合は下記の記事も参考にしてください。
リベンジポルノの法律【2023最新】実際の罰則を分かりやすく解説
リベンジポルノ防止法と時効 | 加害者と被害者の立場から

加害者と被害者の立場から、時効がどのように関わってくるのか解説します。
リベンジポルノ防止法の時効
リベンジポルノ防止法違反行為の公訴時効は3年です。つまり、違反行為が終了した日から起算して3年以内に被害者から告訴があれば、検察官は起訴できます。しかし、3年を過ぎても告訴がなければ、起訴できなくなります。
しかし、被害者はいつ告訴するか分かりません。また、時効は中断されることもあります。例えば、被害者が警察や検察に被害届を提出したり、加害者が海外に逃亡したりした場合は、時効が中断されます。
リベンジポルノ行為は、脅迫罪や強要罪など他の犯罪と併合する場合があります。その場合は、それぞれの犯罪に応じた公訴時効が適用されます。例えば、脅迫罪や強要罪の公訴時効も3年ですが、強姦罪や準強姦罪の公訴時効は10年です。したがって、リベンジポルノ行為と併せて強姦罪や準強姦罪を犯した場合は、10年以内に告訴されれば起訴される可能性があります。
時効を待つ間には逃亡生活を送ることにもなるでしょう。逃亡生活は精神的にも肉体的にも大きな負担となります。また、逃亡中に捕まった場合や自首した場合には、刑罰が重くなる可能性があります。逆に、自首すれば減刑される可能性もあります。
加害者は、被害者に謝罪し、被害者が求める場合は慰謝料を支払うことで、被害者との和解を試みることができます。和解が成立すれば、刑事告訴を回避することができる場合もあるでしょう。和解の際は被害者を刺激しないように弁護士に相談してみることをおすすめします。初回無料相談かつ、リベンジポルノ案件に詳しい弁護士へのお問い合わせをしましょう。
今すぐ無料相談する被害者にとっては、時効前に起訴・慰謝料を請求できたとしても、SNS・ネット上に拡散された情報は簡単に回収することはできません。そのようなときはAIの画像削除サービス「HIMEPA」がおすすめです。
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リベンジポルノの時効で損害賠償はどうなる?
また、刑事罰とは別に、民事上の損害賠償請求も可能です。民事上の損害賠償請求にも時効がありますが、これは20年です。つまり、被害者は違反行為が終了した日から起算して20年以内に損害賠償請求をすれば、裁判所はその請求を認める可能性があります。
リベンジポルノで慰謝料や損害賠償がどのくらいの額なのか、相場は下記の記事にまとめているのでご確認ください。
リベンジポルノで慰謝料・損害賠償ははどれくらいもらえる?相場も解説【示談金・賠償金】

時効とはいっても、加害者・被害者ともにすべき行動はたくさんあるといえます。悩んでいる方は行動することが必要でしょう。
まとめ
この記事ではリベンジポルノの時効と、加害者・被害者になった時の対処法について解説してきました。
加害者にとっては被害者と和解の手続き、被害者にとっては加害者を起訴・損害賠償の請求等を行うことが必要でしょう。
民事上の請求については、リベンジポルノ案件の経験のある弁護士に頼ることが望ましいです。弁護士に相談することで、リベンジポルノ被害者が求める賠償金の適切な金額を判断したり、訴訟手続きを進めるためのアドバイスやサポートを受けることができます。
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